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小円筋(teres minor)とは
teres minor(テレスマイナー)は、日本語では小円筋(しょうえんきん)と呼びます。
ラテン語のteresは「円い、長円形」という意味で、minorは「小さい」という意味です。
小円筋(しょうえんきん)は、背中の筋肉のひとつです。また、腕を動かすために使う筋肉のひとつです。
小円筋(teres minor)の起始(origin)と停止(insertion)
筋肉は通常、2つ以上の骨に付着しています。骨と筋肉の付着している部分のうち、身体の中心に近い方を起始と呼び、身体の中心から遠い方を停止と呼びます。
小円筋は、肩甲骨(scapula)と上腕骨(humerus)に付着しています。
肩甲骨と上腕骨の2つの骨のうち、体の中心に近い側の骨は肩甲骨です。
したがって、小円筋の根元側が肩甲骨であり、先端側が腕の骨のひとつである上腕骨ということになります。
根元側である肩甲骨は固定で動きませんが、小円筋の収縮や弛緩、つまり、筋肉を縮めたり緩めたりすると、先端側の上腕骨が動きます。
起始と停止を動きの点から考えると、骨と筋肉の付着している部分のうち、固定側の骨と筋肉の付着部分が起始であり、動く側の骨と筋肉の付着部分が停止ということになります。
小円筋の起始と停止は次の通りです。
・起始 - 肩甲骨の外側縁(がいそくえん) / Origin - Lateral border of the scapula
・停止 - 上腕骨の大結節(だいけっせつ) / Insertion - Greater tubercle of the humerus
肩甲骨の外側縁(がいそくえん)
肩甲骨の身体の中心側の縁(端の部分)のことを、内側縁(ないそくえん)と呼び、身体の外側の縁のことを、外側縁(がいそくえん)と呼びます。
小円筋は、肩甲骨の外側縁(がいそくえん)に付着しています。
上腕骨の大結節(だいけっせつ)
腕をいろんな方向に動かすためには、いろんな方向に腕の骨を引っ張る必要があります。腕の骨を色んな方向に引っ張るためには、たくさんの筋肉が必要であり、そういう理由から、腕の骨のひとつである上腕骨には沢山の筋肉が付着します。
小円筋は、上腕骨の大結節(だいけっせつ)と呼ばれる部分に付着します。大結節に付着する筋肉は、小円筋の他に、棘上筋(きょくじょうきん)と棘下筋(きょくかきん)があります。
小円筋(teres minor)を使う動き
小円筋(teres minor)を使う動きは2つあります。
・肩関節の外旋(lateral rotation of shoulder joint)
・肩関節の内転(adduction of shoulder joint)
肩関節の外旋(lateral rotation)とは
外旋(がいせん)は、上腕や太ももを、位置を変えずに、体の外側に向かって回転させる動きのことです。
肩関節の外旋とは、肘を90度に曲げた状態で、上腕の位置を変えずに、前腕を体の外側に向かって回転させる動きをいいます。
小円筋によってどのように肩関節の外旋が行われるのか、動きの仕組みを確認しましょう。
身体の右側の小円筋を例に説明します。
小円筋は肩甲骨と上腕骨に付着しています。
肩甲骨側が固定なので、小円筋が収縮すると、上腕骨側が時計回りに回転するような力が加わります。
この力によって肩関節の外旋が行われます。
肩関節の内転(adduction)とは
内転(ないてん)は、腕や脚を身体の中心に近づける動きのことです。
肩関節の内転とは、腕を真っすぐにして、腕を上から下に降ろしながら体の中心に近づける動きをいいます。
小円筋によってどのように肩関節の内転が行われるのか、動きの仕組みを確認しましょう。
身体の左側の小円筋を例に説明します。
小円筋は肩甲骨と上腕骨に付着しています。
肩甲骨側が固定なので、小円筋が収縮すると、上腕骨側を下側に引っ張る力が加わります。
この力によって肩関節の内転が行われます。