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胸鎖乳突筋の分かりやすい解説|sternocleidomastoid(ステェーノクライドマストィド)

胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid)とは

sternocleidomastoid(ステェーノクライドマストィド)は、日本語では胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)と呼びます。

sterno-は「胸骨の」という意味で、cleido-は「鎖骨の」という意味、mastoidは「乳様突起」という意味を持ちます。

筋肉の付着している部分が、胸骨と鎖骨と頭蓋骨の乳様突起なので、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という名前がついています。

sternocleidomastoid - 胸鎖乳突筋
頭蓋骨の側面。赤色の部分が乳様突起

突起の形状が乳房に似ていることから、乳様突起という名前がつけられました。

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は、2つに枝分かれしています。

枝分かれした2つの部分にはそれぞれ名前があり、胸骨に付着する側を胸骨頭と呼び、鎖骨に付着する側を鎖骨頭といいます。

胸鎖乳突筋は右側と左側に計2つあります。

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は、首の筋肉のひとつであり、首を動かすために使われる筋肉です。

胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid)の起始(origin)と停止(insertion)

筋肉は通常、2つ以上の骨に付着しています。骨と筋肉の付着している部分のうち、身体の中心に近い方を起始と呼び、身体の中心から遠い方を停止と呼びます。

胸鎖乳突筋は、胸骨(sternum)と鎖骨(clavicle)、頭蓋骨(skull)に付着しています。

胸鎖乳突筋が付着している胸骨と鎖骨と頭蓋骨の3つの骨のうち、体の中心に近い側の骨は胸骨と鎖骨です。

したがって、胸鎖乳突筋の根元側が胸骨と鎖骨であり、先端側が腕の骨のひとつである頭蓋骨ということになります。

根元側である胸骨と鎖骨は固定で動きませんが、胸鎖乳突筋の収縮や弛緩、つまり、筋肉を縮めたり緩めたりすると、先端側の頭蓋骨が動きます。

起始と停止を動きの点から考えると、骨と筋肉の付着している部分のうち、固定側の骨と筋肉の付着部分が起始であり、動く側の骨と筋肉の付着部分が停止ということになります。

胸鎖乳突筋の起始と停止は次の通りです。

・胸骨頭の起始 - 胸骨丙(きょうこつへい)の上縁 / Origin - Top of manubrium

・鎖骨頭の起始 - 鎖骨(さこつ)内方の3分の1 / Origin - Medial one third of the clavicle

・停止 - 側頭骨(そくとうこつ)の乳様突起(にゅうようとっき) / Insertion - Mastoid process of temporal bone

・停止 - 後頭骨(こうとうこつ)の上頂線(じょうちょうせん)の外側部 / Insertion - the lateral portion of superior nuchal line of occiput

胸骨丙(きょうこつへい)

胸骨は、胸骨丙(きょうこつへい)、胸骨体(きょうこつたい)、剣状突起(けんじょうとっき)という3つの部分に分けることができ、このうち、胸鎖乳突筋は胸骨丙に付着します。

図の緑色の部分 - 胸骨丙

図の水色の部分 - 胸骨体

図の紫色の部分 - 剣状突起

色の付いた部分が胸骨

側頭骨(そくとうこつ)と後頭骨(こうとうこつ)

頭蓋骨は、23もの部分に分けることができますが、このうち、胸鎖乳突筋は側頭骨(そくとうこつ)と後頭骨(こうとうこつ)に付着します。

緑色の部分が側頭骨
緑色の部分が後頭骨

胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid)を使う動き

胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid)を使う動きは3つあります。胸鎖乳突筋の左側と右側のうち片側のみを使う動きが2つ、両側を使う動きが1つになります。

<左側と右側のうち片側のみを使う動き>

首と頭の回旋(neck and head rotation)

首と頭の側方屈曲(neck and head lateral flexion)

<両側を使う動き>

首と頭の屈曲(neck and head flexion)

首と頭の回旋(neck and head rotation)とは

回旋(かいせん)は、軸を中心に回転する動きのことです。

首と頭の回旋とは、首と頭を横方向(左あるいは右方向)に回転させる動きをいいます。

右側の胸鎖乳突筋を収縮させると、頭と首が左側に回旋します。

sternocleidomastoic - 胸鎖乳突筋(右側)

左側の胸鎖乳突筋を収縮させると、頭と首が右側に回旋します。

sternocleidomastoic - 胸鎖乳突筋(左側)
小円筋を上から見た図

胸鎖乳突筋によってどのように首と頭の回旋が行われるのか、動きの仕組みを確認しましょう。

身体の左側の胸鎖乳突筋を例に説明します。

胸鎖乳突筋は胸骨と鎖骨と頭蓋骨に付着しています。

胸骨と鎖骨が固定なので、 胸鎖乳突筋の左側が収縮すると、上から見て頭蓋骨を右に回転させるような力が加わります。

この力によって首と頭の回旋が行われます。

首と頭の側方屈曲(neck and head lateral flexion)とは

屈曲(くっきょく)は、関節の運動のひとつで、関節の両側の骨が近づく、あるいは関節とその両側の骨の作る角度が小さくなるような運動をいいます。

首と頭の側方屈曲とは、首を横(右または左)に傾ける動きをいいます。

左側の胸鎖乳突筋を収縮させると、頭と首が左側に側方屈曲します。

sternocleidomastoic - 胸鎖乳突筋(左側)

右側の胸鎖乳突筋を収縮させると、頭と首が右側に側方屈曲します。

sternocleidomastoic - 胸鎖乳突筋(右側)
小円筋を上から見た図

胸鎖乳突筋によってどのように首と頭の側方屈曲が行われるのか、動きの仕組みを確認しましょう。

身体の左側の胸鎖乳突筋を例に説明します。

胸鎖乳突筋は胸骨と鎖骨と頭蓋骨に付着しています。

胸骨と鎖骨が固定なので、 胸鎖乳突筋の左側が収縮すると、首と頭が左側に傾くような力が加わります。

この力によって首と頭の側方屈曲が行われます。

首と頭の屈曲(neck and head flexion)とは

sternocleidomastoic - 胸鎖乳突筋(左側)

屈曲(くっきょく)は、関節の運動のひとつで、関節の両側の骨が近づく、あるいは関節とその両側の骨の作る角度が小さくなるような運動をいいます。

首と頭の屈曲とは、うなずくようにして下を向く動きをいいます。

小円筋を背中側から見た図

胸鎖乳突筋によってどのように首と頭の屈曲が行われるのか、動きの仕組みを確認しましょう。

胸鎖乳突筋は胸骨と鎖骨と頭蓋骨に付着しています。

胸骨と鎖骨が固定なので、左右両側の胸鎖乳突筋が同時に収縮すると、頭蓋骨を下側に引っ張る力が加わります。

この力によって首と頭の屈曲が行われます。

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